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墨坪君のマンガ道その1 

最近流行っている、某「漫画家目指す物語」の内容を聞くにあたり、じゃあ、俺もうちょっと「頻繁に見る典型的な例」で、物語を書いてみようかと思い、ちょっとやってみます。
  
 墨坪君のマンガ道。

 墨坪くんは夏休みを利用し、せっせと新人賞挑戦の漫画を描きました。
 そしてM誌に投稿し、見事「佳作」を受賞。おめでとう!
 墨坪くんは有頂天です。「オレには才能があるのかも!」

 その通り!才能はあります。
 あくまで私見ですが、たいていの漫画雑誌で「佳作以上」が獲れたなら、”磨けば”漫画家としてデビュ?する才能はあると思います。
 
 でも毎年沢山の新人が賞を取り、大半はデビュ?することなく漫画家への挑戦を終えていきます。
 いったいなにが原因なのでしょう?その差は何?才能?
 でも才能から未来を計れる人間なんて、この世に一人もいません。
 例えばイチロ?が日本で初めて200本安打を記録した日、彼が「大リ?グでも年間の安打記録を塗り替えます」と言って信じた人がいたでしょうか?いるわけありません。
 あれほどのとてつもない才能を公衆の面前で見せつけても、誰一人未来の結果は予測できないのです。
 つまり「才能があった」とはただの結果なのです。
 「歴史を動かした人間には最初から才能があった!」なんてアホ話はアホな歴史小説家に任せておけばいいことで、今を生きる人間は「あるかないかで将来が決まる」なんて悩むだけ無駄です。
才能は、原石です。磨き方一つで宝石にも石ころにもなると言うことです。
  
 さて、佳作を受賞した墨坪くんには担当の編集者さんがつきました。
 デビュ?を狙う墨坪くんは、描き上げた「ネ?ム」を、担当編集者に見せます。
 墨坪くんの自信作、「異世界超能力バトル漫画」です。
 
彼はこう考えています「少年誌で一番人気があるのはJ誌。その中でもバトル漫画は花形だ。M誌その辺が分かってないんだよな。俺がこの『J誌のようなバトル漫画』を描けば人気間違いなし!世界観や、主人公の持つ特殊能力は今まで誰もやったことのない オリジナルな設定だ!」と。自信満々です。

 「素晴らしい!これでいこう!」

担当からこの言葉が出るのを 心臓バクバクで待つ墨坪くん。

 「うーん、悪くないとは思うんだけど・・」
 
 最初に「異世界超常力バトル漫画」を持ってくる新人のネ?ムはたいてい、
1なぜ異世界なのか設定が説明できてない。
2なぜ超常の力なのか説明ができてない。
3設定にペ?ジを割きすぎて、キャラが全く立ってない。
4筋立て自体はおそろしく単純で、「敵が死ねば終わり」という構造しかない。
要はペ?ジが足りないのに内容が薄い「設定だけのマンガ」になっています。

担当のとるべき道は2つ。
この話をやめるか、ペ?ジを増やし補強するかです。
担当編集はペ?ジを増やし、前後編に分ける道を選びました。
「新人を好きな話で、のびのび描かせてみよう。その方が成長するかもしれない。」との配慮からです。
そして、以下のような注意点を与えます。

 1今の状態だと異世界が理解しにくい。舞台を現代の日本に持ってこれないか?その方が読者に簡単に受け入れてもらえるから。
 2今の状態だと超常の力が理解しづらい。をもっと簡単な設定にできないか。
 3キャラが薄い。もっと立ててくれ。
 4ドラマ性を上げて、おもしろみを増してほしい。両親やヒロイン、友人との関係を深めて欲しい。その方がキャラの立場も共感しやすい。
 
 どうです?至極まっとうなアドバイスだと思いませんか?
 ところがここから、不思議な化学変化が起き始めます。
 
 墨坪くんはこう考え始めます。
 「担当さんは最初『悪くない』と言った、つまり『面白い』と言うことだ。しかしこの漫画の面白さは『世界観』と『超常の力』の『設定』にあるはず。なのにが担当はそこを変えろと言ってきた。この編集者大丈夫か?それにキャラを立てるとはどうすればいいんだ?だいたいキャラの立ってない漫画なんて他にいくらでも連載されてる!オマケに両親やヒロインとの関係を出せだと?ペ?ジがとられて『バトル』の面白味が減ってしまうじゃないか!訳がわからん!」

そして墨坪くんは言いました。
 「いったいどこをどう直せばいいんです?具体的に教えてください。」
 
 担当さんもそこは仕事です。「例えば・・」と、思いつく限りの提案をします。

 主人公のキャラを立たせるため、登場を奇抜なモノに変えたらどうか、例えば象を抱えて現れたり。超能力は1日3回までと制限をつけたらどうか。ヒロインが敵と戦うことを強固に止めたらどうだろう。その理由は最後の敵が、ヒロインの昔の恋人とか。

 墨坪くんはこう考えました「・・それのどこが面白いの?」
 担当の提案は全くピンと来ません。

 でも、プロの漫画家なら、ネ?ムを直すのは当然!担当の指摘した通り直さなきゃ!
なんせ、「この話は面白い」と言われたんだから!その証拠に「ペ?ジを増やしてくれ」とも言われたし。(記憶に少し化学変化が起きています。)
 そして2週間後、担当にネ?ムを再提出します。

舞台は現代の日本。象を持った主人公が登場し、1日3回しか使えない超能力で敵と戦います。そしてヒロインは最後の敵と戦うことをかたくなに止めます。いったいなぜか!?戦いの最後、ヒロインの昔の恋人が敵だったことが明かされます。(完)

 墨坪くん「言われた通り直しましたよ!」その顔にはプロの仕事をやり遂げた満足感があります。
 担当「・・・・そうだね。」

 つづく


[2010/04/25 00:58] 墨坪君のマンガ道 | トラックバック(-) | コメント(-)



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