蹴りペンギン報告書漫画家の報告書 | ||||||||||||||||||
この映画のテ-マは「どんなに心優しく、弱いショウのような人間でも、小さく健気に生きているアリエッティに関わればその生活を破滅させてしまう。どんなに良いことをしてあげようとしても人間である以上、災いを与えてしまう。だから一緒にいられない」と、いうものです。 この物語で、お手伝いのハルさんがアリエッティ達を追い出したように感じたとしたらそれは違います。 アリエッティが掟を破り、ショウが良かれと思ってやったことが結局ハルという人間を呼び込んでしまってるわけです。だから、くぎ抜きや金の器を落としてしまった愚かさを見せるシ-ンに意味があるのです。 この物語にハッキリとした悪人がいないのはこのためです。だから冒険物だと思ってみてた人はがっかりするわけです。 そして結局、アリエッティとショウはなすすべもなく別れるしかないわけで、これは「悲しいお別れの物語」なのです。だから男の子も女の子もハッキリくっつきません。恋愛物として見てた人は肩透かしを食うわけです。 ただ、謎解き物としてみるなら山ほど伏線が張ってあります。 「人に見つかったら絶対引っ越さなくてはいけない」という謎を最初に何度も振っています。 「例えショウのようないい人間でもダメ」と父親にきつく言われます。 それに「昔、小人のために家を作ってやる良い人間」がいたとしても「もし見つかれば」例外なく小人たちに災いをもたらし、ある家族は行方不明になってしまったとか。 あと、ショウは出会いがしらにアリエッティを見つけてしまいますが、見つけてしまったことからこのお別れが始まっているわけです。 この物語は出だしのシ-ンは大きな町の俯瞰から始まります。巨大な人間の世界です。 その中でショウはおばあさんの家に連れて行かれ、そこは自然がまだ沢山残っているのですが、周りにいる生き物はネコ、カラス、虫、せいぜい離れたトコにいるタヌキくらいです。他の生き物はもう残ってないのを表現してるのだと思いました。 どんなに良き人でも「人がいる」と言うだけで小さい生き物達が離れてゆく。 人間の強力さが「人が67億人いる。」というのが大事なセリフにつながってるのだと思います。 骨太の謎解きのスト-リ-に深いテ-マを絡めたすばらしい作品だと思いました。 スポンサーサイト
[2010/07/29 18:56]
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